薬物依存症回復支援 — 薬物依存症は回復できる病です

主催:龍谷大学矯正・保護研究センター


主催:龍谷大学矯正・保護研究センター 協力:DARS『薬物依存症者処遇プログラム研修~薬物依存症者回復支援セミナー~』を企画・運営して

【はじめに】

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龍谷大学の石塚先生を研究代表とした私たちのグループは、これまで10年以上にわたって薬物依存症からの回復について共同研究を行ってきました。その研究の第1段階では、「治療共同体」について取上げ、第2段階では、アメリカのドラッグ・コート(薬物関連犯罪専門裁判所)の調査研究および、日本への導入可能性を検討してきました。それらの成果としては、石塚伸一編著『日本版ドラッグ・コート~処罰から治療へ~』(日本評論社、2007年)〔以下、「ドラッグ・コート本」という〕で公刊させていただきました。その反響は大きく、すぐにより具体的な提案を望む声が大きくなっていました。
そこで、これらの共同研究の第3段階として上記「日本版ドラッグ・コート構想」を実現するための行動計画として企画されたのが、このセミナーでした。「ドラッグ・コート本」への感想でも多かったのが、日本ではドラッグ・コートのような制度を始める前に圧倒的に社会に受け皿が不足しているというものでした。たしかに、回復プログラムの情報や研究は数が少なく、それらプログラムを実施する担い手の数もけして多いとはいえないのが日本の現状です。そこで、本セミナーを含め共同研究の第3段階を通じて目標とされたのが次の2つでした。すなわち、①「回復プログラムについて情報収集し、その評価研究を実施することで、モデル・プログラムを構築する」こと、②「それらの担い手となる薬物依存からの回復のためのプログラム・コーディネーターであるリハビリテーション・コーディネーター(RC)〔主に、医療機関・福祉機関・矯正施設などの職員、保護観察官、保護司、NGOスタッフなどの回復支援者〕および、ともに回復のステップを歩んでいくプログラムを実施するリハビリテーション・ファシリテーター(RF)〔治療共同体や自助グループの方々、そしてリカバードなどの回復支援者〕を養成する研修を実施する」ことです。
こういった目的のもとに、パイロット・セミナーを企画・運営をさせていただいたとうのが経緯です。

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    • 【当日の様子】

      当初は、告知期間も短く、開催期間が3日間あること、参加希望理由をうかがうという応募をしたことなどから、参加者の数に不安を抱えていました。しかし、ふたを開けてみれば、事前にお申込をいただいた方だけでも約50名近くになり、スタッフの数を合わせると70人近い参加者になりました。セミナー2日目には参加者に数グループに分かれていただき、実際にミーティング形式で行うプログラムを考えていたことからも、多すぎず少なすぎない目標としていた参加者数で行うことができました。参加者のご所属やご職業もさまざまで、民間の回復支援団体の方はもちろん、矯正施設の職員、行政機関の職員、学生など幅広い分野から来ていただきました。
      第1日目は、「いまを語る」という趣旨で、日本ダルクの近藤恒夫さん、国立精神・神経センターの松本俊彦さん、フリーダムの谷口伊佐美さん、NPO法人アパリの尾田真言さん、京都ダルクの加藤武士さんにそれぞれお話をいただきました。近藤さんからは、一つの支援スタイルではなくその時そのときに応じた支援のあり方が重要であるということをお話いただき、松本さんからは開発された「SMARRPプログラム」のご説明と、そのプログラムは決して目新しい専門技法ではなく、誰もが実践可能性を秘めているところに注目が集まっているというお話をいただきました。さらに、谷口さんからは、自立支援法がもたらした現場への影響や、それに伴う支援の困難さをお話いただき、尾田さんからはアパリが行ってきたプログラムの事例紹介を踏まえた司法支援の提案がなされ、加藤さんからはこれまでのダルクが担ってきた役割とスタッフに求められていること、そしてこれからの世代のダルクのスタッフに求められているものの提案がなされました。
      第2日目は、「パフォーマンスの日」という趣旨で、龍谷大学の土山希美枝さんと、きょうとNPOセンターの野池雅人さん、そして三重ダルクの市川岳仁さんにお話とグループワークの実践をしていただきました。土山さんからは、地域社会における公共政策では、行政と企業、市民の「協働」が重要であることをお話いただき、それら「協働」をよりよいものにするためには、「つなぎ・ひきだす」ファシリテーターが重要であることをご指摘いただきました。その具体的な方法として、実際にある地域の職員研修での「協働」の実践報告とその時に注意すべき点を野池さんと一緒にお話いただきました。市川さんには、ダルクスタッフによる模擬ミーティングをしていただき、それらミーティングはどのような役割を果たしているのかということ臨床心理士である坂本さんや冨田さんに解説いただきました。引き続き、参加者全員で6つのグループに別れ実際にミーティングを行ってみました。ここでは、様々な分野の人々が同じグループで同じテーマを語るということが行われました。
      第3日目は、この2日間で感じたこと、普段抱えている問題を参加者からおおいに語っていただき、横のつながりを強化するということが目的とされた「将来について語る」日でした。参加者の方々からのご要望があることを期待していましたが、期待していた通り、
      様々な提案をいただきました。実際には参加者みんなで体を動かしたり、バーン・アウトしそうになったときに自分が使う回避の方法をみんなに紹介し、共有するといったことが行われていました。2日目のグループに分かれてのミーティングでは、いわゆる「いいっぱなし、ききっぱなし」を前提に、各自が持ち帰ることができない情報の交換が行われましたが、3日目のそれは、逆にみんなが持ち帰れる情報の交換を目的として行われたものでした。その後、みんなの夢を語り合い、参加いただいた方々に修了証書をお渡ししたという大変に実りある3日間のセミナーでした。

      おわりに~今後の課題~

      わたしたちの研究では、将来的に、RCやRFの研修修了者について、これを資格化する可能性を踏まえて検討することを視野においています。それと同時に、当該プログラムと実施機関の適否を評価するシステムの構築の可能性も検討することを目標としています。さらに、将来的には刑務所などの矯正施設、更生保護施設、医療機関、福祉機関、民間の団体の薬物依存回復プログラムおよび実施する機関の認証システムを構築することで、社会での受け皿の開発に寄与することを目的としています。その実現のためには、これまでの各施設での単体でのプログラム開発だけではなく、多機関における連携が重要であり、その連携をする際の横のつながりを開発するために本セミナーは、開催されました。
      セミナー参加者からもご意見があったように、こういったセミナーを途切れることなく行っていくことが、さらなる上記目標達成に向けた原動力となると思っています。次回は、東京で行われますが、すでに企画がスタートしています。ぜひ、関心がある皆さまにご参加いただき、こういったセミナーの重要性を肌で感じていただくとともに、様々な角度からのご意見をいただきたいと考えています。よろしくお願いします。

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