薬物依存症回復支援 — 薬物依存症は回復できる病です

薬物事件に関する司法手続きの流れ


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目次
Q1 警察から「薬物使用で捕まった」と連絡がありました。一体どんな罪になるのですか?
Q2 警察に逮捕されました。裁判までの流れはどうなっているのですか?(20歳以上の成人の場合)
Q3 裁判で実刑(懲役○年)が決まりました。刑務所ではどんな処遇が行われているのでしょうか?
Q4 うちはまだ未成年です。大人と手続の流れは違うのですか?
Q5 刑務所や少年院に入っている間家族はどうすればいいですか?
Q6 「保護観察」を受けることになりましたが,これはいったいどんなものなのでしょうか。

Q1 警察から「薬物使用で捕まった」と連絡がありました。一体どんな罪になるのですか?

A1 警察が逮捕するのは,法律で禁じられている薬物に関わった場合で,次のようなケースが考えられます。

覚せい剤の使用・所持・譲渡等⇒覚せい剤取締法違反
シンナー類の吸引目的所持⇒毒物及び劇物取締法違反
大麻(マリファナ)の使用・所持・譲渡・栽培⇒大麻取締法違反
麻薬やいわゆる「エクスタシー」等の目的外使用・所持・譲渡等⇒麻薬取締法違反
また20歳未満の場合は,「ぐ犯」(犯罪を犯す恐れがあること)で家庭裁判所に送られることもあります。

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    • Q2 警察に逮捕されました。裁判までの流れはどうなっているのですか?(20歳以上の成人の場合)

      A2 薬物事件等で逮捕された際,警察が留置(身柄を引き続き拘束して取り調べること)の必要があると判断した時には,48時間以内に検察官に送致します。検察官が留置の必要があると判断した時には,警察から引き継いでから24時間以内に裁判官に,身柄を引き続き拘束して取り調べる許可を下さいという請求を行います。裁判所がこれを認めた場合,期間は原則10日間ですが,延長されることもあります。この段階では,起訴された段階と異なり,保釈(一定の約束と保証金と引き換えに身柄を釈放してもらうこと)を求めることはできません。検察官はこの期間内に,処罰の要否や諸般の事情を考慮し,起訴するか不起訴にするかを決定します。
      毒物及び劇物取締法違反で罰金になる場合を除き,薬物事件の多くは裁判所で裁判が行われます。裁判に要する期間はケースによって様々ですが,薬物事件のみの場合は判決言渡しまで2,3か月程度のことが多いようです。身柄拘束のまま裁判が行われる時,通常は警察の留置場から拘置所に移されます。この時期もケースによって異なります。
      起訴された後,被告人,弁護人からの請求により保釈が許されることもありますが,保証金(いわゆる保釈金)が必要なほか,定められた住所に居住することや裁判所からの召喚には必ず応じることなどの条件があり,違反した場合は保釈が取消され保証金が没収されることがあります。
      判決が3年以下の懲役若しくは禁固又は50万円以下の罰金の場合は,情状によりその刑の執行を一定期間(1年から5年)猶予されることもあります。ただし,一定期間前科がない等の条件が必要です。また執行猶予期間中保護観察に付する旨言渡される場合もあります。執行猶予の言渡しがあった場合は身柄は釈放されますが,執行猶予期間中に再犯等があった場合は,執行猶予が取消されることになります。
      判決に対し不服がある場合は,高等裁判所への控訴,最高裁判所への上告という手続きがとられることになります。

      Q3 裁判で実刑(懲役〇年)が決まりました。刑務所ではどんな処遇が行われているのでしょうか?

      A3 有罪の判決が確定した時には,執行猶予の言渡しのない限り,刑が刑務所等で執行されます。年齢,性別,犯罪性等が総合的に考慮され,入所する刑務所が決定し,拘置所等から身柄が移されることになります。
      刑務所等では矯正処遇として作業,改善指導(犯罪の責任を自覚させ,健康な心身を培わせ,社会生活に適応するのに必要な知識・生活態度を習得させるための指導),教科指導を実施します。改善指導には一般改善指導と特別改善指導があり,後者には薬物依存離脱指導が含まれています。
      刑務所に入った人は刑期満了日の翌日に釈放され社会に復帰することになりますが,刑期が終了する前でも一定の要件を満たしていれば,刑務所等からの申請を受けた地方更生保護委員会が審査を行い,その決定によって仮釈放が許されることがあります。仮釈放期間中は保護観察に付され,保護観察官及び保護司による指導監督・補導援護を受けます。仮釈放期間中,遵守事項と呼ばれる約束事に違反した場合は刑務所に戻されることがあります。また,仮釈放期間中に所在をくらませた場合には刑期の進行をストップする措置がとられるなど,本人にとっては厳しい一面もあります。

      Q4 うちはまだ未成年です。大人と手続の流れは違うのですか?

      A4 14歳以上の少年が薬物事件で検挙された場合,まず検察官に送致され,検察官は捜査を行い,処遇意見を付けて事件を家庭裁判所に送致します。14歳未満の少年の場合は,児童福祉法上の措置がまず優先され,児童相談所に送られます。家庭裁判所では家裁調査官による調査が実施されるほか,必要がある時は少年鑑別所での資質鑑別が行われます。少年鑑別所に収容する期間は,通常は4週間以内となっています。なお,保護者に対しても家裁調査官による調査が行われます。この調査の際にはご自身の不安や考えなどもきちんと家裁調査官に伝えるとよいでしょう。
      少年に対する保護処分としては「保護観察」「少年院送致」「児童自立支援施設等送致」の3種類があります。
      保護観察に付された少年は原則として20歳の誕生日の前日まで(決定時18歳以上の少年の場合は決定の日から2年間),保護観察官及び保護司の指導監督を受けることになります。
      少年院送致となった少年は,初等・中等・特別・医療のいずれかの種別の少年院にそれぞれ収容されます。処遇期間は「特修短期」「一般短期」「長期」の3種類となっています。少年院在院中には,薬物問題を改善するための教育計画に基づき,集中的かつ継続的に実施される集団指導のほか,個別指導で薬物からの回復を図ります。保護者会などを通して保護者との関わりも密になされています。少年院で矯正教育を受けつつ更生への道を歩み,仮退院が許可され出院した後には一定期間保護観察に付されることになっています。
      児童自立支援施設等送致とは,家庭裁判所の決定によって,児童自立支援施設(旧教護院)等に送致されることです。
      家庭裁判所が刑事処分相当と判断した少年は検察官に送致され,その後の処遇の流れは成人とほぼ一緒です。

      Q5 刑務所や少年院に入っている間家族はどうすればいいですか?

      A5 刑務所や少年院に収容された場合,本人は自らの意志で「引受人」(釈放後の生活の面倒や更生の手助けをする人 同居か近くに住まいを用意できることが条件),「帰住予定地」(釈放後生活する場所)を決めます。この決定に基づいて,保護司(非常勤国家公務員 ボランティアとして社会復帰の援助をする 秘密保持義務あり)が「引受人」「帰住予定地」を訪問し,引受意思の有無や生活のことを訪ね,更生を支援する受け入れ態勢を整えていきます。これを「環境調整」と呼んでいます。引き受けるかどうかはあくまでも引受人とされた方の気持ち次第です。家族の場合は,引受人になっている家族と,それ以外の家族・親族との話し合いを必要とする場合もあるでしょう。「引受け意思はあるが同居は不可能」「本音を言えば引き受けたくないが,本人に恨まれるのが不安」という事情がある場合は,率直に保護司に相談するようにしてください。保護司は保護観察官(国家公務員 犯罪や非行からの立ち直りを支援する専門家)と協議し,最終的には保護観察所長が本人を帰住予定地に返すことが望ましいかどうか判断します。
      仮釈放が実現した場合は「環境調整」を担当した保護司が原則として保護観察の担当者となります。

      Q6 「保護観察」を受けることになりましたが,これはいったいどんなものなのでしょうか。

      A6 「保護観察」とは,非行や犯罪をした人に対し,保護観察官(国家公務員 非行や犯罪からの立ち直りを援助する専門家)や保護司(地域ボランティア 非常勤の国家公務員 守秘義務あり)が立ち直りのための支援をする制度です。家庭裁判所で保護観察の言渡しを受けた人,裁判所で保護観察付執行猶予の言渡しを受け判決が確定した人,少年院や刑務所から仮釈放された人が対象となります。
      裁判所や少年院,刑務所からの戻った際にはまず保護観察官の面接を受けますが,その後は通常は地域の保護司のもとを訪問し,生活状況の報告を行い,悩みについて相談をし,薬物をやめるための指導を受けます。状況によっては保護観察官から面接の指示があることもあります。少年院や刑務所といった矯正施設ではなく,家庭や地域社会での生活の中でその立ち直りを支援していくことが大きな特徴です。保護観察官や保護司は家族にとっても心強い味方になりうる存在です。戸惑うことや困ったことについてはどうか率直に相談し,一緒に解決方法を考えていきましょう。

      コラム7 うちの場合は違法薬物ではないのですが

      せきどめ薬やライターガスなど,法律で規制されていない,薬局その他で簡単に入手できる薬物にはまっていくケースも散見されます。こうしたケースの場合,違法ではないので警察も実際のところ動きにくいのが現状です。しかし,暴れたり身の危険を感じた時には,薬物使用のうえでそうした事態になっていることを率直に伝え,逮捕ではなく保護を求めることも必要と思われます。シンナーや覚せい剤に比べて事例そのものが少ないので,対応する警察はじめ諸機関も戸惑っているのが現状ですが,家族が声をあげていくことはやはり必要です。また,警察だけに拘らず,保健所や精神保健センター,精神科医など精神保健分野に相談してみると,逮捕・取締りというルート以外の,回復への方途が見付かることもあります。

      参考文献
      入門 刑事手続法」(三井誠,酒巻匡)有斐閣
      犯罪白書」平成7年版・平成14年版

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